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- 2019.04.23 Tuesday
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この頃の Wilderness Lodge にはなぜか日本人バックパッカーが大勢押し寄せていて部屋がいっぱいになり、ついには談話室の方にまで寝る人が出るほどだった。
僕の部屋にも別の人がやってきて相部屋になってしまった。
やって来た多すぎる日本人バックパッカー達は、あまり自分とは相容れない人種だった。
タバコにマリファナ吸って、そこらへんにポイ捨て。
日本人同士で群れて騒ぐ。モラルが無い。
金を稼ぐ手段は、ヨーロッパ辺りの治験。
絵に描いたような典型的で生粋のバックパッカー。インドやタイ辺りの安宿で沈没していそうな人種だ。
そして僕の部屋にやってきた人も、部屋でタバコやマリファナを吸われて、僕は実に不愉快な気分になってしまった。
そもそもこんなにおいや副流煙は大嫌いだったし、僕の衣類などに付着した場合、空港の通関で止められて完全チェックをさせられる可能性があるのも気に入らなかった。
それでいてマリファナ吸った感想なんかを楽しそうに語ったりもしていた。
彼らの態度は常に僕をイライラさせた。
僕もタバコやマリファナは吸わないとはいえ、職を持たないまま既に3ヶ月くらい旅していたし、そもそもWilderness Lodgeに沈没していたのは僕の方だ。
だから、全然人の事はいえないだろう。
あるいは、自分の姿を客観的に見ていたのかもしれない。
それに、中には話が合う人がいたし、群れで見なければいい人もいただろう。
それでも僕は僕の勝手ながら、砂漠で静かにしていたいのに、急に無法者に居場所を占拠された気分になった。
そんなわけで、終始僕は彼らとかかわらない様に注意深く行動した。
その日、ベルベル絨毯に相変わらず見せられていた僕は、このハッシ・ルビィの村のお土産屋で絨毯を見る事にした。
とはいえ、このハッシ・ルビィの村で絨毯を扱う店はとても少ない。
結局アハメッドの店に行ってみた。
すると上述に日本人8人くらいでレストランでワンサカやってた。
僕は彼らをスルーしてアハメッドに絨毯をみせてほしいと頼んだ。
アハメッドは快諾して、絨毯を保管している倉庫へ僕を連れて行った。
そこは、他の絨毯屋と同じように絨毯が沢山山積みされていて、絨毯フリークの自分は否応なしにワクワクしていた。
アハメッドはそもそも絨毯とはキリムという壁掛け用が多くて、この種類の絨毯を敷いて利用するとあっという間に駄目になる事を解説した。
その上で、「自分が持っている絨毯は壁掛け用じゃなくて本物の絨毯だ。こんな風に歩いてもへっちゃらだ。」と言って大げさに絨毯の上をズカズカあるいて丈夫な事をアピールした。
そして、生地はビニールとかではなく、ウールだと言い、ライターで隅っこを燃やして僕ににおいを嗅がせた。
絨毯屋というのはどこでもこんな風に生地の証明として、隅っこのわずかな糸をちょっとだけ燃やしてにおいで証明させるのだ。
僕は確かに獣のにおいを感じとったので、おそらく本当にウールなんだろうと思った。
僕は宿屋の方ののりこさんの赤い絨毯にこだわっていたので、赤い絨毯中心にコレクションを見せてもらった。
が、しかし、そんなに気に入った絨毯は見つからず、ありきたりで鈍いデザインのものしかなかった。
それに上の通り、いくつかの絨毯にはシワがあり、丈夫なように見えなかった。
僕は絨毯を決めかねていると、アハメッドは外から呼ばれて、代わりに奥さんののりこさん(宿屋じゃないほう)をよこして出て行った。
のりこさんと絨毯をしらみつぶしのさがしてみるものの、結局絨毯は見つからず、僕とのりこさんは倉庫を後にしてお店のほうに戻った。
・・・
お店の正面を見ると、なにやら始まっていた。
ここはアハメッドの店だけど、 Wilderness Lodge の主:オマールがいた。
そのオマールがアハメッドの父にあたる爺さんに、杖でボコボコに殴られていたのだ。
そこにアハメッドも参戦し、オマール対アハメッドでリアルバトルが始まった。
(宿屋じゃない方の)のりこさんははじめは笑っていたものの、シリアスな彼らにヤメテヤメテと悲鳴を上げていた。喧嘩は殴り合いにキック等の繰り返しだったか、致命傷になるような事はやっていない。
そんな喧嘩の様子を、その他の日本人達は完全に無視していた。
やがてオマールは帰っていった。
僕はわけがわからなかったけど、日本人達+喧嘩は無視、アハメッドの店を退散してもう一つ見つけた絨毯屋へ行く事にした。
そこで出てきた赤系の絨毯たちだ。
悪くは無いけど、すごくほしいデザインとも思えず、結局買うにはいたらなかった。
のりこさんとのりこさんの関係者同士の喧嘩が、僕の気分をぐしゃぐしゃにしてくれていた。
夜になって Wilderness Lodge に帰ると、(宿屋の方の)のりこさんに会った。
ベルベル人達はなんかやってたでしょう?って聞かれた。
僕は見たままを一部始終話した。
のりこさんは大方状況は知っていた。
そして喧嘩の理由を教えてくれた。
ようはコミッションでもめてるのだ。
この辺ではお店を客に紹介した場合、通常、紹介した宿側にコミッションが都度支払われる。
しかし、Wilderness Lodgeに滞在している僕ら日本人は、Wilderness Lodge の紹介としてでなく、勝手にアハメッドの家等を行き来しているものだから、コミッションが支払われず、それにオマールは怒っているのだった。
僕が聞いた限り、のりこさんもコミッションは支払われるべきだと考えているようだった。
だからこうしてオマールはアハメッドにコミッションを請求するものの、アハメッド側は支払う理由はないと主張して喧嘩になる。
彼らにしてみれば、日本人は良いカモで、彼らの生活を底から支えているに違いない。
よって状況は深刻度を増し、収集がつかなくなっていた。
僕が思うに、コミッションのためにWilderness Lodgeの関係者の誰かを毎回連れて行くのは現実的じゃないし、そもそも誰がどこの店に行くかは僕らの自由なはずだ。
それは(宿屋の方の)のりこさんに言っておいた。
そして僕はよくわからないけど、喧嘩はとりあえず無視する事にしたと伝えた。
のりこさんもそれで良いと共感していた。
夜になって、Wilderness Lodgeの屋上には多くの不良日本人バックパッカーがたむろしていたんだけど、そこにオマールがやってきた。
オマールは喧嘩の事でかなり痛そうだったし、しょぼくれているように見えた。
そんなオマールを横目に、日本人達は昼間見たオマールの喧嘩についてゲラゲラ笑っていた。
「あいつ、子供が切れた時に腕をブンブン振り回すようなアクションだったよなー」
そんな失笑が続いたのだ。
僕は、オマールもこの日本人達も両方ともいやになっていた。
あとあとよそで聞いた、Wilderness Lodgeの一つの悪評としては、(宿屋の方の)のりこさんとオマールも、商人を前に日本人にはわかるまいとフランス語で事あるごとに「こいつらからせびってお金を踏んだくれ」的なニュアンスを相手に伝えるのだ。
でも、なぜかのりこさんはそういうえげつない事を言ってるのかを、自分からわざわざ僕に説明していた。
なんでだろうか?結局知る事になるからなのか?
僕は日本人バックパッカー達にも、Wilderness Lodgeにも、アハメッドの店にも、そして自分にも、何もかも違和感を覚えつつあった。
そろそろ潮時なのかもしれない。
主なモロッコの写真は以下にアップしています。
本日時点でMaroc2 メルズーガ大砂丘編 ですね。